レスキュー商法(水回り修理詐欺)の高額請求に困惑する被害者と、特定商取引法(クーリング・オフ)や消費者ホットライン188を活用して自衛・返金アクションを起こす人の対比イラスト

「500円〜」の広告を見て水漏れ修理を頼んだのに、現場で30万円請求された──。トイレの詰まり、鍵の紛失、害虫駆除など、緊急時につけ込む「レスキュー商法(正式名称:暮らしのレスキューサービス)」の被害が急増しています。国民生活センター等への相談は2024年度だけで8,318件に達し、2014年度と比較すると約4倍に膨れ上がっています。

特にネット広告経由の被害が深刻化し、「自分から呼んだからクーリング・オフできない」と諦めている方も少なくありません。しかし、その契約、不意打ち性があれば8日以内なら解除できる可能性が高いのです。本記事では、大手ガス会社社員として現場を知る運営者が、悪質業者を「その場で追い返す撃退法」と「支払った後の返金ルート」を、特定商取引法の根拠とともに解説します。


結論:ネット広告経由でも「訪問販売」扱い──8日以内ならクーリング・オフ可能

原則:レスキュー商法は特定商取引法上の「訪問販売」に該当し、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、理由を問わず契約をほぼ確実に解除できる可能性が高いです。これは、自分から電話して呼んだ場合でも同じです。広告の金額と実際の請求額が大きく乖離している場合、「不意打ち性」があると判断され、クーリング・オフの対象となるからです。

例外:ただし、3,000円未満の現金取引など一部例外があるほか、正式な契約書面が交付されていない場合など、事業者の書面に条件が記載されていない場合は、その免除を主張できません。また、書面不交付はそれ自体が行政処分の対象となり得ます。業者が「クーリング・オフはできない」と虚偽の説明をした場合も、期間は進行しないため、8日を過ぎていても諦めずに消費生活センターへ相談すべきです。

目次

第1章:レスキュー商法とは何か?──「緊急」につけ込む搾取の構造

ミントちゃん
レスキュー商法とは、水漏れ・鍵紛失・害虫など、消費者がパニック状態にある緊急時に、ネット広告で格安を謳って接触し、現場で高額請求する詐欺的手法です。公的資料では「暮らしのレスキューサービス」と呼ばれ、2024年度の相談件数は8,318件で、2014年度の約4倍に急増しています。

国民生活センターが警告する「3大被害パターン」

消費者委員会の最新データ(2025年2月)によると、以下の順に相談が多発しています。いずれも平均契約額が高額化しているのが特徴です。

  • 害虫・害獣駆除:約2,400件(平均契約額 約10万円)
  • トイレ修理:約2,000件(平均契約額 約14万円)
  • 鍵の修理・交換:約1,900件(平均契約額 約7.4万円)
  • ロードサービス:約1,000件(※全国の統計として正確な区分ではないため概数)
  • 水漏れ・配管詰まり修理:約750件(平均契約額 約13万円)

出典:消費者委員会 暮らしのレスキューサービスに係る消費者相談の概況(2025年2月)

生活リスクポイント
特に一人暮らしの若年女性が、部屋に出たゴキブリにパニックになり、ネット検索で見つけた業者に依頼してトラブルに遭うケースが急増しています。冷静な判断ができない状況を狙った極めて悪質な手口です。

「500円〜」広告の物理的カラクリ──なぜ30万円になるのか

大手ガス会社社員としての知見から断言します。「出張費込み500円」で水道修理は物理的に不可能です。深夜料金が加算されたとしても、数万円台が一般的な目安であり、数十万円になるのは明らかに不自然です。以下が業界の実態です。

費目 適正な価格感の目安 レスキュー商法の手口
出張費・人件費 5,000〜8,000円程度 広告では「500円」と表示
パッキン交換(材料+工賃) 数万円台が目安 →現場で「配管全体の交換が必要」
合計(標準的修理) 数万円以内が一般的 30〜80万円請求

悪質業者の典型的な手口は以下の通りです。

  1. 診断の罠:「詳しく見るため」と蛇口を勝手に分解
  2. 不安の煽り:「配管全体が劣化している。今やらないと大変なことに」
  3. 次々提案:一つの方法で直らないと、さらに高額な作業を追加
  4. 人質作戦:「もう分解したから戻せない。断るなら分解費2万円」

ネット広告の「検索上位=信頼」という錯覚

Google検索で「水漏れ 修理 24時間」と調べると、最上部に表示される「広告」枠。これは広告費さえ払えば誰でも掲載できる仕組みです。消費者庁は2025年、リスティング広告で「数百円〜」と格安表示しながら現場で高額請求する業者に対し、特定商取引法に基づく注意喚起を実施しました。

プラチナちゃん
え、検索で一番上に出てくる業者って、信頼できるんじゃないの…?
ミントちゃん
いいえ。検索上位は「お金を払った広告」です。本当に信頼できるのは、自治体が公開している「水道局指定給水装置工事事業者」のリストです。緊急時こそ、このリストを確認する時間を作るべきなんです。

第2章:その場で追い返す「法的撃退フレーズ」──不退去罪と契約拒否の実践

クロマル
作業員が現場に来て、高額な見積もりを突きつけてきた。断っても帰ってくれない──。そんな時、法律を盾に、明確に「NO」を突きつける方法を伝えるにゃ。

ステップ1:契約前なら「即座に拒絶」──口頭でも有効

まだ契約書にサインしていない段階であれば、契約義務は一切ありません。以下のフレーズを明確に伝えてください。

「この金額では契約できません。作業は不要です。お帰りください。」

絶対にやってはいけないこと

  • 「検討します」と曖昧に答える → 業者が居座る口実になる
  • 「もう少し安くなりませんか?」と交渉する → 契約意思があると判断される
  • サインの強要に根負けする → 一度サインすると撤回が困難に

ステップ2:帰らない場合は「不退去罪」を明示──刑法130条の盾

退去要求に応じず居座る行為は、刑法130条「不退去罪」(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)に該当する可能性があります。以下の手順で対応してください。

  1. 明確な退去要求:「お帰りください」と口頭で伝える
  2. 記録の開始:スマホで録音・録画を開始(相手に見える位置で)
  3. 法的根拠の提示:以下のフレーズを読み上げる
「退去を要求します。これ以上居座ると刑法130条の不退去罪に該当します。今から警察に通報します。」
  1. 即座に110番:躊躇せず警察を呼ぶ(「退去要求をしているのに居座られている状態です」と伝える)
生活リスクポイント
退去要求後、靴を履く・荷物をまとめるなどの「退去に必要な合理的時間」を超えて居座った場合に、不退去罪が成立します(現場警察官の判断による)。警察到着まで、ドアを開けず、室内に入れないことが極めて重要です。

実際の摘発事例──恐喝罪での逮捕

2024年、大阪府警は水道修理業者「近畿住宅設備」の従業員2名を恐喝容疑で逮捕しました。被害者が知人に電話で相談しようとしたところ、携帯電話を取り上げ「はよ金払ってサインせえや」と脅迫。33万円を支払わせ、無理やり契約書にサインさせた事案です。

このような場合、脅迫・恐喝は明確な犯罪行為です。身の危険を感じたら、以下の対応を取ってください。

  • 玄関ドアを開けない(チェーンロックを必ずかける)
  • 窓から外に向かって「助けて」と叫ぶ
  • 110番通報(「脅迫されている」と伝える)

第3章:支払ってしまった後の「返金ルート」──クーリング・オフと消費者契約法

プラチナちゃん
もう支払っちゃったし、契約書にもサインした。諦めるしかないの…?
ミントちゃん
いいえ。8日以内ならクーリング・オフで全額返金できる可能性があります。さらに、8日を過ぎていても、業者の違法行為があれば消費者契約法で契約を取り消せます。絶対に諦めないでください。

武器1:クーリング・オフ──「自分から呼んだ」は関係ない

最重要ポイント:ネット広告を見て「自分から電話して業者を呼んだ」場合でも、レスキューサービスは特定商取引法上の「訪問販売」に該当する可能性が高いです。これは、以下の理由によります。

誤解 正しい法的解釈
「自分から呼んだからクーリング・オフ不可」 ✕ 誤り。広告の「500円」と現場の「30万円」は「不意打ち性」があり、訪問販売と同等と判断される可能性が高い
「ネット広告経由は通信販売扱い」 ✕ 誤り。業者が自宅に来て契約した時点で「訪問販売」
「作業後はクーリング・オフ不可」 ✕ 誤り。工事完了後でも8日以内なら解除可能

法的根拠:広告の金額と実際の請求額が大きく乖離している場合、消費者庁や自治体(いわき市等)の見解では「不意打ち性がある」と判断され、クーリング・オフの対象となる可能性が高いとされています。

お金のポイント
実際、名古屋高裁平成15年判決では、自宅訪問相当の状況であれば「訪問販売」と認定され、クーリング・オフが適用されました。「自分から呼んだ」という業者の言い分は、必ずしも通りません。

クーリング・オフ期間の「起算点」と「妨害」の監査

  • 書面の重要性:正式な契約書面を交付されなかった場合などは、クーリング・オフ期間の起点が分からず、期間が進行していないと見なされる可能性があります。加えて、契約書面を交付しないこと自体、特定商取引法上の義務違反となり、行政処分の対象にもなり得ます。
  • 妨害への対抗:事業者が「クーリング・オフはできない」と事実と違う説明をしたり、威圧的に妨害した場合には、期間を過ぎていてもクーリング・オフが認められます。
  • 適用除外の条件:3,000円未満の現金取引など一部例外がありますが、事業者の交付書面にその旨(クーリング・オフできない条件等)が記載されていない場合は、その免除を主張できません。

武器2:消費者契約法──8日を過ぎても取り消せる

クーリング・オフ期間を過ぎていても、以下に該当すれば消費者契約法第4条により契約を取り消せます。

取消事由 具体例 期間
不実告知(第4条1項) 「今すぐ修理しないと水道管が破裂する」などの嘘 事実を知った時から6ヶ月
困惑(第4条3項) 「もう分解したから戻せない」と帰らず居座り 同上
不利益事実の不告知 「工事後のキャンセル不可」を事前に説明せず 同上

取消の意思表示(書面例)

           契約取消通知書

契約年月日:2026年〇月〇日

貴社従業員は「今すぐ工事しないと配管が破裂する」と虚偽の説明をし、
また、退去要求に応じず3時間にわたり居座り契約を強要しました。

これは消費者契約法第4条第1項および第3項に該当するため、
本契約を取り消します。支払済金額の返金を請求します。

2026年〇月〇日
氏名:山田太郎

※「困惑」によって取消す場合、高齢者・一人暮らし・深夜・精神的なパニックなど、状況の積み重ねが証拠として重要になります。ただし、退去要求に応じない・脅迫まがいの言動などがあれば、行政・裁判所も「消費者が不当な立場に追い込まれた」として該当可能性を高く評価することが多いです。

業者が返金に応じない場合の「次の一手」

  1. 消費生活センター(188)に相談 → あっせん(第三者仲介)を依頼
  2. 警察への被害届 → 恐喝・詐欺の可能性を指摘
  3. 少額訴訟 → 60万円以下なら簡易裁判所で1日で判決(費用 1万円程度)
  4. 弁護士会の紛争解決センター → ADR(裁判外紛争解決)で和解
ミントちゃん
事案にもよりますが、消費生活センターのあっせん(第三者仲介)によって解決した事例は多数あります。また、契約書面交付義務違反等が明らかになれば、行政による是正命令の対象にもなり得ます。泣き寝入りせず、必ず公的機関に相談してください。

第4章:被害を未然に防ぐ「事前の生存戦略」──信頼できる業者リストの確保

クロマル
ここからは「予防」の話だにゃ。緊急時にパニックにならないための、平常時の備えを解説するにゃ。

今すぐやるべき「5分アクション」

  1. 自治体の「指定業者リスト」をスマホに保存

各自治体は、水道局が認定した「指定給水装置工事事業者」のリストを公開しています。以下のキーワードで検索し、PDFをダウンロードしてください。

「[あなたの市区町村名] 水道局 指定給水装置工事事業者」

例:東京都の場合 → 東京都水道局 指定給水装置工事事業者検索

  1. 火災保険の「付帯サービス」を確認

多くの火災保険には、水回りトラブルや鍵紛失時の「駆けつけサービス」が無料で付帯しています。保険証券を今すぐ確認し、サービス会社の連絡先をスマホに登録してください。

  1. 賃貸なら「管理会社」、持ち家なら「施工業者」の連絡先を確認

夜間・休日でも対応してくれる「信頼できる相談先」を事前に把握しておくことが、最大の防御策です。

悪質業者を見抜く「7つのチェックリスト」

以下に1つでも該当したら、契約を即座に拒否してください。

チェック項目 悪質業者の特徴
①広告表示 「500円〜」「格安」など、異常に安い金額
②会社情報 所在地・代表者名が不明。検索しても口コミが極端に少ない
③見積もり 「見積もり無料」と言いながら、見積もり後に分解費用を請求
④説明 「今すぐやらないと大変」と不安を煽る。代替案を示さない
⑤契約書 その場でサインを強要。クーリング・オフの記載がない
⑥支払い 現金のみ対応。領収書を渡さない
⑦態度 退去要求に応じない。恫喝・脅迫まがいの言動
生活リスクポイント
特に「見積もり無料」と言いながら、蛇口を勝手に分解し「もう戻せないから工事費が必要」と迫る手口が横行しています。作業前に必ず「見積もりだけで、作業はしないでください」と明言してください。

よくある質問(FAQ)

   
       
Q. 契約書にサインしてしまいましたが、まだお金は払っていません。どうすればいいですか?
       
A. 契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフで契約を無条件に解除できる可能性が高いです。支払いは一切不要です。業者から「キャンセル料が発生する」と言われても、法律上支払う義務はありません。内容証明郵便で解除通知を送り、消費生活センター(188)に相談してください。
                
Q. 「自分から呼んだからクーリング・オフできない」と業者に言われました。本当ですか?
       
A. それは嘘です。ネット広告で「500円」と表示されていたのに現場で「30万円」と言われた場合、広告と実態の乖離が大きく「不意打ち性」があるため、特定商取引法上の訪問販売と判断される可能性が高いです。消費者庁の見解でも、このような場合はクーリング・オフの対象となり得ます。業者の説明を鵜呑みにせず、消費生活センターに確認してください。
       
Q. すでに工事が完了し、支払いも済ませてしまいました。クーリング・オフ期間も過ぎています。もう諦めるしかないですか?
       
A. 諦める必要はありません。①業者が「クーリング・オフできない」と虚偽の説明をしていた場合、クーリング・オフ期間は進行しません。②消費者契約法第4条により、不実告知(嘘の説明)や困惑(居座りによる強要)があれば、事実を知った時から6ヶ月以内であれば契約を取り消せます。返金請求には証拠が重要です。契約書や領収書、電話でのやり取り、録音・録画などを揃えて消費生活センター(188)に相談してください。
       
Q. 業者が帰ってくれません。警察を呼んでも対応してくれますか?
       
A. はい、対応してくれます。明確に「お帰りください」と退去要求をしたのに居座る行為は、刑法130条の不退去罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)に該当します。110番通報時に「退去要求をしているのに居座られている状態です」と伝えてください。警察が到着するまで、ドアを開けず、録音・録画を継続してください。
       
Q. 夜中にトイレが詰まりました。どこに連絡すればいいですか?
       
A. 以下の順に連絡先を確認してください。①火災保険の付帯サービス(24時間対応が多い)、②賃貸なら管理会社の緊急連絡先(契約書に記載)、③自治体の水道局指定業者リスト(事前にスマホに保存推奨)。深夜料金は割高になりますが、簡単な作業で数十万円になるのは明らかに不自然です。ネット広告の「500円」業者は絶対に避けてください。
       
Q. 消費生活センターに相談すると、どんなサポートが受けられますか?
       
A. ①法的アドバイス(クーリング・オフや消費者契約法の適用可否)、②あっせん(消費生活センターが業者と交渉し、返金を求める第三者仲介)、③他の相談機関の紹介(弁護士会、警察など)。多くの事案があっせんによって解決しています。相談は無料で、全国共通の電話番号「188(いやや)」で最寄りのセンターにつながります。
   

まとめ:知識は最強の盾──レスキュー商法から家族を守る3つの行動

本記事の重要ポイント(リスク回避)

       
  • ネット広告経由でも「訪問販売」扱い──広告の金額と現場の請求額が乖離していれば、8日以内ならほぼ全額返金が期待できる可能性が高い。「自分から呼んだ」は関係ない。
  •    
  • 居座る業者は「不退去罪」で警察へ──退去要求に応じない行為は刑法130条違反。躊躇せず110番し、「退去要求をしているのに居座られている」と伝える。
  •    
  • 8日を過ぎても諦めない──業者の嘘や脅迫があれば消費者契約法で6ヶ月以内に取消可能。消費生活センター(188)のあっせん解決実績は多数ある。

次に取るべきアクション

     
  • 【5分以内】スマホに消費生活センター「188」を登録する
  •  
  • 【1週間以内】自治体の「水道局指定業者リスト」をダウンロードし、PDFを保存する
  •  
  • 【1週間以内】火災保険の証券を確認し、「駆けつけサービス」の有無と連絡先を確認する
  •  
  • 【今すぐ】すでに被害に遭っている場合、この記事のクーリング・オフ書面例をコピーし、内容証明郵便で送付する

参考・関連リンク

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