「中東の話でしょ、もう少し様子を見てから防災グッズを揃えよう」──そう思っているなら、この記事を最後まで読んでほしい。
2026年4月18日、イラン革命防衛隊(IRGC)はホルムズ海峡の管理を「従前の状態に戻した」と宣言した。前日に外相が「全商業船舶の通航を開放する」と表明してから、わずか24時間後のことだ。
問題は、ガソリンや電気代だけではない。ポータブル電源・非常食・保存水タンク・簡易トイレ──あなたが「いつか揃えよう」と思っている防災グッズそのものが、ナフサ・アルミの供給不安によって今まさに値上がりと品薄の圧力にさらされている。
プラチナちゃん
クロマルガス会社の現場で働くわたしが、インフラと資材の両面から「今すぐ確保すべき防災グッズ」を解説します。
この記事で分かること
- なぜ防災グッズがナフサ・アルミ不足の直撃を受けるのか、構造を理解できる
- 今すぐ確保すべき5カテゴリと選び方の基準が分かる
- 「安物で代用できるか」の判断基準(100均トリアージ)が明確になる
- 5分・1週間・1ヶ月の時間軸アクションプランで迷わず動ける
※給湯器・エコキュートの品薄リスクについては、専門記事で詳しく解説しています。

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2026年4月現在──ホルムズ海峡は「一夜にして再封鎖」された
停戦宣言の翌日に覆された現実
2026年2月末、米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受け、イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡を事実上封鎖した。世界の海上原油輸送量の約2割が通過するこの海峡が止まったことで、日本への原油・ナフサ供給は急減した。
4月17日、イラン外相アラグチ氏が「全商業船舶の通航を完全に開放する」と表明し、油価は11%急落した。だが翌4月18日、IRGCはその宣言を一夜にして撤回。「海峡は厳格な管理と統制の下に戻った」と宣言し、再封鎖に転じた。
生活リスクポイント「終わった話」と思った人が最も危ない
ニッセイ基礎研究所のエコノミストは「すぐに恒久的な停戦合意に至るのは難しく、原油価格は90〜100ドル台で一進一退が続く」と予測している。仮に停戦が実現しても、今年初めの60ドル弱には戻らない見通しだ。
さらに深刻なのは、IRGCが海峡に敷設した機雷を自ら追跡できなくなっている可能性が指摘されていることだ。政治的に開放を決定しても、物理的に完全開放できないリスクが燻り続けている。
プラチナちゃん
クロマル—
なぜ「防災グッズ」が値上がり・品薄になるのか
「防災グッズと原油がなぜ関係するのか」──その構造を理解しておくことが、正しい備えの第一歩だ。答えは原料にある。
ポータブル電源はアルミと樹脂の塊だ
ポータブル電源の筐体(ケース)には大量のアルミニウムが使われている。現在のLMEアルミ価格は1トン3,672ドルと4年ぶりの高値だ。中東は世界のアルミ製錬能力の約9%(年間700万トン)を担っており、その供給ショックは「2000年以降で最大」と評されている。
さらに内部の配線・基板を覆う樹脂類はナフサ由来のプラスチックだ。アルミ高騰とナフサ高騰が同時に直撃する製品カテゴリが、ポータブル電源である。
非常食のパッケージ・容器もナフサ由来
アルファ米・レトルト食品・栄養補助バー──これらの長期保存を可能にしているのは、ナフサから作られる高機能プラスチックフィルムや密封パウチだ。石油化学工業協会によると、ナフサ由来の製品は金額ベースでプラスチック製品が約6割を占める。
日本サニパックはポリ袋を5月下旬から全商品30%値上げすると発表済みだ。パウチや包装容器を大量に使う非常食メーカーへのコスト転嫁は、時間の問題にすぎない。
保存水タンク・簡易トイレも同じ構造
保存水を入れるポリタンク・ウォータータンク、そして凝固剤付きの簡易トイレ──どちらもポリエチレン・ポリプロピレンといったナフサ由来の素材でできている。積水化学工業はポリエチレン管を20%以上値上げすると発表しており、同じ原料を使う家庭用品への影響は直結している。
生活リスクポイント—
【比較表】今すぐ確保すべき防災グッズ5カテゴリ
プラチナちゃん
クロマル| カテゴリ | 値上がりリスク | 品薄リスク | 最低確保目安 | おすすめ対象者 |
|---|---|---|---|---|
| ①ポータブル電源(500Wh以上) | 🔴 高(アルミ+樹脂) | 🔴 高 | 1台 | 全世帯・特に乳幼児・医療機器使用者 |
| ②非常食セット(5〜7年保存) | 🟠 中〜高(容器・フィルム) | 🟠 中 | 3日〜7日分/人 | 家族持ち・マンション在住 |
| ③保存水・ウォータータンク | 🟠 中〜高(ポリ素材) | 🟠 中 | 1人3L×3日分+タンク | 断水リスクが高い地域 |
| ④簡易トイレ(凝固剤付き) | 🟠 中(容器・凝固剤) | 🟡 低〜中 | 1人7回×3日=21回分 | 全世帯(特に自宅避難想定) |
| ⑤カセットコンロ+ガスボンベ | 🟡 中(金属缶) | 🟡 低〜中 | ボンベ15本以上 | 都市ガス・IH調理器使用世帯 |
※価格・在庫状況は変動します。購入前に各サイトで最新情報をご確認ください。
お金のポイント—
カテゴリ別・今すぐ買うべき理由と選び方
①ポータブル電源──最優先で確保すべき理由
ポータブル電源は「防災グッズの中で最もコストが高く、最も原材料価格の影響を受けやすい」製品だ。容量の目安として、スマホ充電・小型扇風機・電気毛布を3日間使うなら500Wh以上、冷蔵庫の短時間使用も想定するなら1,000Wh以上を選ぶと安心だ。
クロマル②非常食セット──容器値上がりが価格に転嫁される前に
アルファ米・レトルトカレー・フリーズドライ製品は5〜7年保存が可能で、「賞味期限が長い=今すぐ使わなくても損しない」という最大のメリットがある。ローリングストック(消費しながら補充するサイクル備蓄)を前提に選ぶと、日常生活の延長で無理なく備蓄できる。
容器・パッケージのコスト増は、まず業務用から家庭用へ順番に転嫁される。家庭向けの価格改定は5〜6月以降に本格化する見込みだ。今が最も安く買える可能性が高い。
③保存水・ウォータータンク──断水時の「命綱」は今が買い時
内閣府は1人1日3L×最低3日分(できれば7日分)の飲料水備蓄を推奨している。市販の2Lペットボトルで揃える方法もあるが、断水時の生活用水(トイレ・洗浄・調理)まで確保するには、10〜20L容量のポリタンク・ウォータータンクが必要だ。
ポリエチレン製品は積水化学が20%以上の値上げを発表済みであり、同素材のタンク類も例外ではない。食品衛生法適合品(飲料水対応)かどうかを必ず確認したうえで選ぼう。
④簡易トイレ──避難所でも自宅避難でも最重要インフラ
能登半島地震でも「排泄問題」が最大の生活課題のひとつとなった。下水管が損傷している状態でトイレに流すと、汚水が逆流して周辺住民全体に被害が及ぶ。簡易トイレは「自分のため」だけでなく「近隣への配慮」のためでもある。
クロマル⑤カセットコンロ+ガスボンベ──熱源は「生命維持の最後の砦」
電気・都市ガスが止まった状況でも調理・暖をとれる唯一の選択肢が、カセットコンロとガスボンベだ。ガスボンベの使用目安は1本あたり約70分(強火)。3日間の調理を想定するなら最低15本、7日間なら30本以上を確保したい。
金属缶はアルミ・スチール双方のコスト圧力を受けており、ガスボンベも例外ではない。複数箱単位でまとめ買いすることで、今後の値上がりリスクを吸収できる。
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給湯器・エコキュートが心配な方へ
「給湯器の交換を検討しているが、品薄で手に入らなくなるのでは」という不安をお持ちの方は、こちらの専門記事をご覧ください。給湯器品薄のメカニズムと、今動くべきタイミングを詳しく解説しています。

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【時間軸アクションプラン】今日から始める3ステップ
プラチナちゃん
クロマル【5分以内】現状確認──今ある備蓄を「見える化」する
冷蔵庫・押し入れ・クローゼットを見渡して「水・食料・トイレ・電源」の4項目だけメモする。何がゼロか分かれば、次の行動が決まる。スマホのメモアプリで十分だ。
【1週間以内】優先順位の高い1〜2カテゴリをオーダー
比較表を参考に、「ゼロ品目」のうち最優先の1〜2カテゴリをAmazon・楽天でオーダーする。一度に全部揃えようとしない。財布へのインパクトを分散させながら確実に進めることが大切だ。
【1ヶ月以内】全カテゴリの確保完了+家族との共有
5カテゴリすべての最低ラインを確保したら、家族に保管場所・使い方を共有する。防災グッズは「存在を知っている人全員が使える状態」にして初めて機能する。
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まとめ──「備蓄グッズが消える前に備蓄する」時代が来た
2026年4月現在、ホルムズ海峡の状況は「完全封鎖でも完全開放でもない」極めて不安定な状態が続いている。
ポータブル電源・非常食・保存水タンク・簡易トイレ・カセットコンロ──これらはすべて、ナフサとアルミという「今まさに高騰している原材料」でできている。コロナ禍に給湯器が消えていったあの時と同じ構図が、今度は防災グッズで起きようとしている。
「落ち着いてから買おう」という判断が、最も高くつく可能性がある。今この瞬間が、最も適切な価格で最も確実に手に入れられるタイミングだ。
クロマル—
よくある質問
- ポータブル電源は高くて躊躇しています。本当に今買う必要がありますか?
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筐体のアルミニウム価格が4年ぶりの高値を記録しており、今後さらに値上がりする可能性があります。また停電時に最も困るのが「電源の確保」であることは、過去の災害事例が証明しています。500Wh以上のモデルであれば、スマホ・照明・小型家電を3〜5日間カバーできます。「高い」ではなく「今が一番安い」という視点で検討することをお勧めします。
- 100円ショップの防災グッズで代用できませんか?
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用途によって「OK」と「NG」が明確に分かれます。ポリ袋・ガムテープ・ロウソクなどの消耗品は100均で問題ありません。一方、電源系(モバイルバッテリー含む)・感震ブレーカー・浄水器などは、故障や破損が直接命に関わるため安価品は推奨しません。「補助消耗品」は100均OK、「生命維持の基幹装備」は品質担保された製品を選んでください。
- 情勢が落ち着いたら価格は元に戻りますか?
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専門家の予測では、原油価格は停戦が実現しても今年初めの水準(60ドル弱)には戻らず、年内は70ドル台が続く見込みです。アルミニウムも供給体制の再構築に時間がかかるため、「落ち着いたら安くなる」という期待は現実的ではありません。価格が下がる前に手に入らなくなるリスクも並行して存在しています。
- 非常食は何日分揃えれば十分ですか?
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内閣府の推奨は「最低3日分、できれば1週間分」です。過去の大規模災害(東日本大震災・能登半島地震)では、物流が正常化するまでに1〜2週間かかる事例もありました。まずは家族全員分の3日分を確保し、余裕ができたら7日分へ拡充するという段階的な取り組みが現実的です。
- どこで買うのが一番確実ですか?
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ポータブル電源・非常食などはAmazon・楽天での購入が在庫確認・価格比較の観点から最も便利です。特に大容量品や人気モデルは在庫が流動的なため、検討が固まったら早めに注文することをお勧めします。なお、「タイムセール・特売」を待ちすぎると在庫切れになるリスクがあります。
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参考資料
- 経済産業省「石油製品価格調査・備蓄政策」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/petroleum/
- JOGMEC「石油・天然ガス資源情報」 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/
- 内閣府「家庭での備蓄の推進」 https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bichiku/index.html


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