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【専門家が解説】2025年夏に節電要請がない3つの理由|電力需給の安定は本物か?
2025年夏、節電要請なし!電力不足は解消された?
クロマル:2025年夏の節電要請が見送られたのは、原発再稼働などで発電量が増え、電力供給に余裕ができたからだにゃ。でも、これは一時的な安定かもしれにゃい。長期的なリスクも解説するにゃ!
毎年のように夏になると耳にしていた「節電のお願い」。厳しい暑さの中、エアコンの設定温度を上げたり、不要な照明を消したりと、多くの方が協力されてきたことでしょう。しかし2025年の夏は、政府が全国一律での事前の節電要請を見送ることを決定しました。 これを聞いて、「ようやく電力不足の心配はなくなったのか」「今年はエアコンを気兼ねなく使える!」と安堵した方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、2025年夏に節電要請がない理由は**「新しい大規模発電所が次々と稼働し、電力の供給力が猛暑による需要の増加を上回ったため」**です。具体的には、複数の**原子力発電所の再稼働**と、**最新鋭の火力発電所の運転開始**という、供給サイドの力強い回復が大きな要因となり、電力供給にひとまずの余裕が生まれました。
しかし、この「安定」は、私たちが手放しで喜べるほど強固なものではありません。実は、AIデータセンターの急増による電力消費の爆発的な増加や、老朽化した発電所の引退、そして災害への脆弱性といった、未来の電力需給を脅かす複数の長期的なリスクも確実に迫っています。本記事では、なぜ今年節電要請がないのかという理由を公式データに基づいて深掘りするとともに、この安定が「嵐の前の静けさ」である可能性について、専門家の視点から徹底的に解説していきます。
目次
- 激動の2年間:2024年の「危機」と2025年の「安定」をデータで比較
- なぜ電力供給は安定した?需給バランスを好転させた3つの牽引役
- この安定はいつまで続く?忍び寄る「次の電力危機」の正体
- 今こそ始めるべき「家庭のエネルギー自衛策」とは
- よくある質問(FAQ)
- 参考リンク
激動の2年間:2024年の「危機」と2025年の「安定」をデータで比較
クロマル:2024年は記録的な猛暑で電力が本当にギリギリだったにゃ。 2025年は発電所が増えたことで、猛暑でも安心できる最低限のバッファー「予備率3%以上」を確保できたのが大きな違いだにゃ。
2025年の安定を正しく理解するために、まずは電力需給が極度のストレスに晒された2024年の状況を振り返る必要があります。2024年の夏は、日本の平均気温が1898年の統計開始以降で過去最高を記録するなど、全国的に記録的な猛暑に見舞われました。 この異常気象は冷房需要をかつてないレベルまで押し上げ、電力システム全体が悲鳴を上げていたのです。
特に東京電力エリアでは、7月8日に気温上昇に伴う需要増により、電力予備率が安定供給の危険水域とされる3%台まで一時的に低下。 中部電力からの緊急の電力融通や、電力広域的運営推進機関(OCCTO)による企業への需要削減協力の要請が行われる事態となりました。 まさに「ナイフの刃の上」のような、危ういバランスでなんとか大規模停電を回避していたのが実情でした。
それに対して2025年は、供給力が大幅に増強されたことで状況が一変しました。経済産業省とOCCTOは、10年に一度の厳しい暑さを想定した場合でも、電力の安定供給に最低限必要とされる**「電力予備率3%」を全ての電力エリアで確保できる**との見通しを示しています。
この「予備率」とは、電力需要のピークに対して供給力がどれだけ上回っているかを示すバッファー(緩衝材)のことです。予期せぬ発電所のトラブルや、想定を上回る需要の急増に備えるためのもので、この数値が3%を下回ると、需給バランスが崩れて大規模停電のリスクが急激に高まります。2025年は、この生命線ともいえる3%を、猛暑時でも全国的に維持できる見込みとなったのです。
以下の表は、特に需給が厳しい東京エリアなどのデータを比較したものです。供給力が増強されたことで、経済活動の活発化により需要が増加しているにもかかわらず、安定供給が可能となっていることが明確に見て取れます。
| 指標 | 2024年度 | 2025年度 | 変化の要因 |
|---|---|---|---|
| 供給力(万kW)- 東京エリア | 5,594 | 5,649 | 供給力増加 |
| ピーク需要(万kW)- 東京エリア | 5,364 | 5,391 | 経済活動等による需要増加 |
| 最小予備率(%)- 東京エリア | 4.1% (7月) | 3%以上を確保 | 供給増が需要増を上回る |
| 最小予備率(%)- 全国 | 全エリアで3%以上を確保 | 全エリアで3%以上を確保 | 大規模電源の再稼働が寄与 |
出典:経済産業省、電力広域的運営推進機関の公表資料を基に作成
なぜ電力供給は安定した?需給バランスを好転させた3つの牽引役
クロマル:今回の安定の主役は、なんといっても「原子力発電所の再稼働」だにゃ。24時間安定して大量の電気を作れる「ベースロード電源」が増えたことが、一番の理由にゃ。
2025年の需給バランスが劇的に改善した背景には、供給能力を押し上げた3つの大きな要因があります。特に、天候に左右されずに24時間稼働できる「ベースロード電源」が増強されたことが決定的な役割を果たしました。
要因1:最大の貢献、原子力発電所の再稼働
クロマル:女川原発や島根原発が再稼働したことで、稼働する原子炉は12基から14基に増えたにゃ。 これがなければ、今年の安定はなかったと言っても過言ではないにゃ。
今回の需給逼迫緩和に最も大きなインパクトを与えた単一の要因は、**原子力発電所の再稼働**です。2024年から2025年にかけて、国の新しい規制基準への適合審査と安全対策工事を終えた、複数の重要な原子力発電所が送電を再開しました。
具体的には、**東北電力の女川原子力発電所2号機(出力82.5万kW)**および**中国電力の島根原子力発電所2号機(出力82万kW)**の再稼働が、電力系統に大きな安定性をもたらしています。 この2基だけで合計160万kWを超える電力が新たに供給されることになり、これは数百万世帯の電力消費量に匹敵する、まさに桁違いの規模です。これにより、日本全国で稼働する原子炉の基数は、2024年1月時点の12基から14基へと増加しました。
これら原子力発電所は「ベースロード電源」と呼ばれ、天候や時間帯に関わらず24時間365日、一定の出力を維持できるのが最大の特徴です。需要のピーク時や、後述する太陽光発電の出力が落ちる夜間でも安定して電力を供給できるため、電力システム全体の信頼性を根底から支える、強力な緩衝材として機能するのです。
要因2:首都圏を支える、最新鋭「高効率火力発電所」の新規稼働
クロマル:古い火力発電所が引退する一方で、首都圏ではJERAの五井火力発電所のような、燃費が良くてパワフルな新型がデビューしたにゃ。 これも供給力を大きく底上げしたんだにゃ。
原子力と並行して、火力発電の世代交代も進んでいます。老朽化した非効率な火力発電所が段階的に廃止される一方で、最新鋭の**高効率ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所**が新たに運転を開始しています。これは、ガスタービンを回した後の高温の排気ガスを再利用して、蒸気タービンも回すという二段構えの発電方式で、従来の火力発電に比べて熱効率が格段に高く、CO2排出量も少ないのが特徴です。
その代表例が、JERAが運営する千葉県の五井火力発電所です。ここでは3基の新しいユニットが運転を開始し、電力需要が日本で最も集中する首都圏の供給力を大幅に増強しました。 また、ウクライナ侵攻後に急騰したLNG(液化天然ガス)や石炭の国際価格が、2024年後半から比較的落ち着いた水準で推移していることも、火力発電の安定稼働を後押しする追い風となっています。
要因3:再生可能エネルギーの着実な拡大と、その限界
クロマル:太陽光発電も2024年時点で全発電量の約1割を占めるまでになったけど、今回の安定への直接的な貢献度で言えば、原発や新型火力に比べると限定的だにゃ。天気に左右されるという課題はまだ大きいにゃ。
太陽光発電を中心に、再生可能エネルギーの導入量も着実に増加を続けており、日本の総発電電力量に占める自然エネルギーの割合は2024年時点で24.3%に達しています。 これは供給力全体への貢献であり、脱炭素化の観点からも非常に重要です。しかし、その影響、特に「夏のピーク時の需給逼迫緩和」という点においては、冷静に評価する必要があります。
太陽光発電は、ご存知の通り日中の晴れた時間帯にしか発電できず、天候に左右されるという「間欠性」の課題を抱えています。夏の電力需要のピークは、太陽光の出力が落ち始める夕方16時~17時以降も続くことが多く、この時間帯の供給を支える力にはなりにくいのが現状です。そのため、2025年の安定化への直接的な貢献度という点では、24時間稼働できる原子力や、必要な時に出力を調整できる最新鋭火力に比べると限定的であると言わざるを得ません。
この事実は、再生可能エネルギーを主力電源化するためには、発電パネルの設置だけでなく、発電した電気を貯めておく大規模な蓄電池や、電気が余っている地域から足りない地域へ送るための送電網の増強が不可欠であることを示しています。
この安定はいつまで続く?忍び寄る「次の電力危機」の正体
クロマル:手放しでは喜べないにゃ。AIデータセンターの急増で、電力消費は2034年までに原発7基分も増える予測だにゃ。 今の安定は、嵐の前の静けさかもしれないにゃ。
2025年の安定は歓迎すべきニュースですが、これはあくまで「一時的な猶予」である可能性が高いことを、私たちは認識しておく必要があります。私たちの社会は、これまでとは質の異なる、新たなそしてより構造的な電力危機のリスクに直面しています。
リスク1:AIが電気を食いつくす?爆発的に増加する産業需要
今後の電力需要における最大の変動要因、それは**AIの普及を背景としたデータセンターや、半導体工場の新増設による、爆発的な電力消費**です。これらの施設は、24時間365日、膨大な電力を消費し続けます。これは、夏の日中だけ需要が伸びる家庭のエアコンとは全く異なり、電力システムの基礎需要(ベースロード)そのものを恒常的に押し上げる、非常に大きな負荷となります。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公式予測によれば、これらの部門は2034年度までに約715万kWもの新たな最大電力を生み出すとされています。 これは、**100万kW級の大型原子力発電所が新たに7基追加されるのに等しい**、凄まじいインパクトです。今の供給増が、この未来の需要増に追いつけるかは極めて不透明です。
リスク2:発電所の引退と燃料の海外依存
需要が増加する一方で、供給面では大きな課題が山積しています。まず、高度経済成長期に建設された**老朽火力発電所の廃止**が、今後10年間で加速する計画です。これにより、大量の供給力が電力系統から失われます。もし、これらを代替する脱炭素電源の建設が間に合わなければ、構造的な供給不足は避けられません。
また、日本の電力供給は依然としてLNGや石炭といった輸入化石燃料に大きく依存しています。足元の燃料市場は比較的安定していますが、中東や東欧での紛争激化、輸送ルートの混乱など、地政学的なリスクが高まれば、燃料価格は再び高騰し、火力発電の安定稼働を脅かす可能性があります。
リスク3:国全体の発電量から「地域ごと」の送電問題へ
さらに、問題の焦点は国全体の「発電量」の不足から、特定の地域に電力を届けられない**「送電網の容量不足(送電ボトルネック)」**へと移り変わりつつあります。データセンターや半導体工場は全国に均等に建設されるわけではなく、特定の地域に集中する傾向があります。そのため、国全体の予備率が健全に見えても、特定の地域では電線がパンク寸前になり、局所的な供給力不足が深刻化するリスクが指摘されています。
今こそ始めるべき「家庭のエネルギー自衛策」とは
クロマル:今の安定は平時の話だにゃ。大地震で発電所が止まったら、今の予備率じゃ対応できない。これからは、太陽光や蓄電池で「自分の電気は自分で守る」時代だにゃ。
ここまで見てきたように、2025年の安定はあくまで平時を前提としています。忘れてはならないのは、日本が災害大国であるという事実です。大規模な地震や台風などの自然災害が発生し、複数の発電所や広範囲の送電網が同時にダメージを受けるような事態になれば、現在の予備率では到底対応できず、長期にわたる大規模な停電(ブラックアウト)に繋がる可能性があります。
もはや、電力を行政や電力会社だけに頼る時代は終わりを迎えつつあります。これからは、私たち一人ひとりが**「自分の生活と家族の安全は、自分で守る」**という意識を持ち、具体的な行動を起こすことが不可欠です。
太陽光発電 + 蓄電池:最強の防災インフラ
家庭でできる最も有効な自衛策が、**太陽光発電と家庭用蓄電池**の導入です。日中に太陽光で発電した電気を蓄電池に貯めておくことで、夜間や悪天候時でも電気を使えるようになります。これは、停電時には非常に強力なライフラインとなります。照明、スマートフォンの充電、冷蔵庫、テレビによる情報収集など、最低限の生活を維持するための電力を自給自足できるのです。
V2H:動く蓄電池、電気自動車の新たな価値
電気自動車(EV)をお持ちの方、あるいは購入を検討している方には、**V2H(Vehicle to Home)**という選択肢が加わります。これは、電気自動車の大容量バッテリーを家庭用の蓄電池として活用するシステムです。一般的な家庭用蓄電池の数倍もの容量を持つEVバッテリーを使えば、停電時でも数日間にわたって普段に近い生活を送ることも可能になります。
電気代高騰への対抗策としても有効
これらの設備は、防災対策としてだけでなく、日々の家計を守るための強力な武器にもなります。燃料費の高騰や円安、再生可能エネルギーを普及させるための費用(再エネ賦課金)など、様々な要因が複雑に絡み合い、**電気代は今後も上昇し続ける**と見られています。「節電要請がないから」と安心するのではなく、むしろ家計を防衛するためにも、太陽光発電による自家消費で電力会社から買う電気の量を減らすことが、ますます重要になってくるのです。
電力供給が安定している今こそ、未来のリスクに備える絶好の機会です。ご家庭の状況に合わせて、エネルギーの自衛策を検討してみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
「電力予備率」とは何ですか?
ピーク時の電力需要に対し、供給力がどれだけ上回っているかを示す割合のことです。発電所の急なトラブルや想定以上の需要増に備えるためのバッファーであり、安定供給のためには最低3%が必要とされています。
供給が安定したら、電気代は下がりますか?
残念ながら、単純に下がるわけではありません。電気代は、発電所の建設費や維持費、燃料費、為替レート、再エネ賦課金など多くの要因で決まります。供給が安定しても、燃料価格が高騰したり、新しい発電所の建設費が電気料金に上乗せされたりするため、長期的には上昇傾向が続くと予測されています。
「送電ボトルネック」とは何ですか?
発電した電気を送る送電線の容量が足りなくなり、電気が渋滞を起こしてしまう状態のことです。例えば、再生可能エネルギーが豊富な地域で大量に発電しても、都市部へ送るための送電線が細いと、せっかくの電気を送りきれずに無駄になってしまいます。今後の大きな課題の一つです。
なぜデータセンターが増えると電力が足りなくなるのですか?
データセンターはAIやクラウドサービスを支えるために24時間365日、大量の電力を消費し続けるためです。その消費量は膨大で、今後10年で日本の総電力需要を単独で押し上げる最大の要因になると予測されています。
今後、また節電要請が出される可能性はありますか?
あります。今回のような供給力増強を上回るペースでデータセンターなどの需要が増えたり、想定外の猛暑や大規模な発電所のトラブルが重なったりした場合には、再び需給がひっぺきし、節電要請が出される可能性は十分に考えられます。
参考リンク
- 経済産業省:2025年度夏季の電力需給対策について
- 電力広域的運営推進機関(OCCTO):電力需給検証報告書
- 気象庁:2024年夏(6月〜8月)の天候
- 資源エネルギー庁:9.原子力
- Impress Watch:今年の夏は節電要請なし 全国で安定供給

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